📖『狼たちの月』フリオ・リャマサーレス 木村榮一 訳(ヴィレッジブックス)
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p42(炭鉱の中に隠れて)
光の色と肌理が記憶から消え去り、月が太陽に姿を変え、太陽が記憶に変わると、視線はものの形よりも匂いが語りかけるものに惹かれ、目はものを見るよりも風の言葉に耳を傾けるようになる。
📝メモ
スペイン内戦について描かれた本・映画
Pere calders『unitats de xoc』
1943年に至ってもまだ逃亡生活が続いている。フランスとの国境からそんなに遠くないバスク地方の、主人公たちの家族のいる町の近くの山に何年も潜んでいる。時に助けられたり裏切られたりしながら。
そこにいることが分かっているのに(家族が衣食の面倒をみている)捕らえられることもなく、ずっとにらみ合いを続けて数年が経つ、その息苦しさや淀みのようなものがこちらに伝わってきて時々深く息を吸わないと窒息しそうになる。
黄色い雨は孤独や絶望や乾きや沈黙にもう少し巧みさや深みがあるかもしれない。 でもこの作品の中にあるやるせないまでのどうしようもなさやふつふつと尽きない喪失のようなものも、よかった。